益子焼(ましこやき)の基礎知識!特徴や歴史、人気の理由を紹介

伝統工芸の益子焼(ましこやき)のお皿一覧 益子焼

益子焼(ましこやき)とは

伝統工芸の益子焼(ましこやき)のお茶碗

益子焼(ましこやき)とは、栃木県芳賀郡益子町周辺で生まれた陶磁器の1種です。一般的には「土瓶や鉢などの日用品」に使用されることが多い陶磁器です。

江戸時代から盛んになり、発展を遂げていましたが、昭和初期からは民芸品・芸術品としての価値を高めていきました。

昭和54年には、その特徴が認められ、国の伝統工芸品の指定を受けました。

益子焼(ましこやき)の特徴

伝統工芸の益子焼(ましこやき)のお皿

益子焼の特徴
  • 自然の土から作られる益子焼独特の風合い
  • 温もりのある手触り

益子焼の特徴は、「自然の土から作られる独特の風合い」と「温もりのある手触り」にあります。この魅力は、益子焼で使われる土が関係しています。
土に他の物質を混ぜないことで、砂気の多いざらざらとした手触りになり、重厚感と力強さを感じることができるのです。

土の性質上、どうしても焼き上がりが黒くなってしまいがちですが、釉薬(ゆうやく)と呼ばれるガラス質のコーティングで様々に彩っています。

一方で、土に空気が多く含まれるため材質上割れやすく、重いという欠点もあります。そのため、当時はお皿ではなく、土瓶や鉢などの日用品に多く使われていました。

使用する釉薬(ゆうやく)の種類

益子焼などの陶磁器は、釉薬(ゆうやく)と呼ばれるガラス質のコーティングをすることで、さまざまな色彩の美しさを作り出します。

伝統工芸の益子焼(ましこやき)の作品例-おしゃれ-一覧

出典:Instagram

益子焼で使用する、7種類の釉薬を紹介します。

7種類の釉薬(ゆうやく)
  1. 並白釉(なみじろゆう)
  2. 柿赤釉(かきあかゆう)
  3. 黒釉(こくゆう)
  4. 飴釉(あめゆう)
  5. 糠白釉(ぬかじろゆう)
  6. 灰釉(かいゆう)
  7. 糠青磁釉(ぬかせいじゆう)

益子焼の色彩は、自然素材から生まれる豊かな色合いが特徴的で、これらは多くの場合、釉薬によって生み出されます。

1.並白釉(なみじろゆう)

伝統工芸の益子焼(ましこやき)の作品例-おしゃれ-並白釉(なみじろゆう)

出典:道祖土和田窯

中国の宋代に多く見られる釉薬で、淡い青白色が特徴です。

並白釉は緻密で滑らかな表面を持ち、静謐な雰囲気を持つ作品を生み出します。
この釉薬は、特に定窯などの高級磁器でよく使われ、優雅な光沢が鑑賞者を引き込みます。
日本でも古くから評価され、多くの陶芸家に影響を与えてきました。

2.柿赤釉(かきあかゆう)

伝統工芸の益子焼(ましこやき)の作品例-おしゃれ-柿赤釉(かきあかゆう)

出典:Instagram

鉄分を主成分とする釉薬で、酸化させることで赤褐色に発色します。

柿赤釉は、特に日本の陶磁器において歴史的な背景を持ち、古典的な風合いが愛されています。
その色の深みや温かみは、和の空間によく合い、季節感を感じさせる作品に仕上がります。

3.黒釉(こくゆう)

伝統工芸の益子焼(ましこやき)の作品例-おしゃれ-黒釉(こくゆう)

出典:つかもと

黒釉は、鉄分やマンガンを含んだ釉薬で、還元焼成や酸化焼成によって深い黒色を呈します。

中世の中国や日本では茶器などにも用いられました。
黒釉の質感や光沢は、シンプルながらも力強く、独特の存在感を放つ作品を作り出します。

4.飴釉(あめゆう)

伝統工芸の益子焼(ましこやき)の作品例-おしゃれ-飴釉(あめゆう)

出典:Instagram

鉄分を多く含む釉薬で、褐色の透明感のある質感が特徴です。

飴色のような温かみのある色合いは、日常の食器や茶器によく用いられ、使う人の心を和ませます。
日本の民陶や伝統工芸品においても、飴釉の技法は広く受け入れられています。

5.糠白釉(ぬかじろゆう)

伝統工芸の益子焼(ましこやき)の作品例-おしゃれ-糠白釉(ぬかじろゆう)

出典:Instagram

米ぬかのような淡い白色を特徴とする釉薬です。

糠白釉は、やわらかな印象を持ち、日本の民陶や伝統的な作品において、素朴で温かな雰囲気を演出するために用いられます。
特に和食器としての使用が多く、食材の色や形を引き立てる役割も持ちます。

6.灰釉(かいゆう)

伝統工芸の益子焼(ましこやき)の作品例-おしゃれ-灰釉(かいゆう)

出典:益子WEB陶器市

木の灰を主成分とし、アルカリ成分がガラス状に固まることで釉薬としての機能を果たします。

灰釉は、その自然な質感や色彩によって、伝統的な日本の陶磁器や民陶に広く用いられています。
また、灰の種類や使用する木の種類によっても微妙に色や質感が異なります。

7.糠青磁釉(ぬかせいじゆう)

伝統工芸の益子焼(ましこやき)の作品例-おしゃれ-青磁釉(せいじゆう)

出典:つかもと

青磁の一種で、糠白釉のような淡さと緑色の美しさを併せ持つ釉薬です。

その色合いは、自然の風景や季節の移ろいを思わせ、多くの陶芸家や愛好者から支持を受けています。
この釉薬は、独特の深みと輝きを持ち、特に茶器などの高級な作品に用いられることが多いです。

益子焼(ましこやき)の歴史

伝統工芸の益子焼(ましこやき)の歴史_簡単年表

 

益子焼の歴史は、茨城県の笠間焼で修行を積んでいた陶芸家の大塚啓三郎が、新たな焼き物の制作地を探していたところ、益子町で焼き物作りに理想的な陶土(陶磁器の原料となる粘土)を見つけたことがきっかけで始まりました。

大都市東京に近いこともあり、江戸時代になると、益子焼は飛躍的に発展しました。
特に17世紀の初めに陶工の榊原長左衛門が益子に移住し、陶磁器作りを始めたことがきっかけとなり、その後、地元の陶工たちが次々と加わって大規模な生産が始まりました。

明治時代に入ると、全国への配送が可能になり、益子焼の名は全国に広まりました。
その歴史の中で、多くの技法が生まれ、さまざまな種類の益子焼が生み出されてきました。

生活様式の変化による需要低下や、震災・戦争での特需を経て、現在、窯業(ようぎょう)が始まり300年あまりの時が流れましたが、伝統とアートを融合させながら技術は継承され続けています。

益子焼(ましこやき)の魅力と人気の理由

なぜ益子焼は有名なのか

益子焼の人気の理由は、その「手仕事の温もり」と「自然の風合い」にあります。
また、どの益子焼も使う人の生活を豊かにし、心地よさを提供するためのものであり、その使い勝手の良さも評価されています。

更に、それぞれの作品が持つ独自性と、使う人それぞれの生活の中で独自の色合いを増していく「成長性」も魅力の一つです。

益子焼の美しさ

伝統工芸の益子焼(ましこやき)の陶磁器

益子焼はその素朴で自然体な美しさが魅力です。

自然素材から生まれ、手仕事によって形作られる益子焼は、見る人に対し落ち着きと安らぎを与えます。
また、使うたびに色や風合いが変化し、より一層美しさを増すことも特徴です。

まとめ

益子焼のまとめ
  • 栃木県芳賀郡益子町周辺で生まれた陶磁器
  • 自然の土から作られる、温もりのある手触り
  • 現在は、民芸品・芸術品としての美しさも見出される

本記事では、益子焼について紹介しました。
重厚感のある、力強い風合いが人気のため、日用品としても、芸術品としてもおすすめです。

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